真宗大谷派では5月2日、宗務総長名による「朝鮮半島における危機的状況が平和裏に解決されることを願う声明」を発表しました。
朝鮮民主主義人民共和国による核兵器開発と度重なるミサイル発射実験の実施を受けて、これまでになく朝鮮半島周辺での軍事的な緊張が高まっています。
聖徳太子は「十七条憲法」において、「人は皆、執着する心を持っている。一方が絶対的に正しく、他方が絶対的に誤っているとは言えない。どちらも共に凡夫(ただひと)であるのみである」(主旨の意訳)と述べておられます。
個々人の間で、どちらかに一方的な正しさが存在しないのと同様に、国家と国家の関係においても、一方的な正義と一方的な悪を想定して対峙するならば、悲惨な結果しか招かないことは、過去の悲しい歴史が証明しております。
軍拡競争と戦争はいずれの国の国民にも深い苦難と悲しみしかもたらしません。私ども真宗大谷派は、仏教者として、また過去の戦争に責任を負う者として、「どちらも共に凡夫である」との地平に立ち、関係各国が冷静さを取りもどし軍事的行動を思いとどまって、対話のテーブルに着くことで、朝鮮半島における危機的状況が平和裏に解決されることを切に願うものであります。
2017年5月2日
真宗大谷派(東本願寺)宗務総長 但 馬 弘