3月19日、イラクの大量破壊兵器問題をめぐり、イラクに対する武力行使に対して断固抗議するとともに、戦争の中止を強く求める宗務総長名の声明を表明しました。
なお、この声明は、小泉総理大臣、駐日米国特命全権大使及び駐日英国大使に郵送いたしました。
イラクへの武力行使に対する抗議と戦争中止を求める声明
ついに最も恐れていたイラク攻撃が、米国・英国やそれを支持する国々によって今はじめられようとしており、日本政府はその動きを支持しています。世界中の人々が戦争に反対する中、あえて行われる武力行使に対して、悲しみと怒りを覚えるものであります。
私たちは、去る2月28日、イラクへの武力行使がなされることのないよう訴え、声明を発しましたが、このような事態に至ったことは残念でなりません。
ひとたび戦争が起これば、戦闘員はもとより戦地の市民が大量に殺戮され、とりわけ老人や女性、幼い子供たちに、とりかえしのつかない犠牲を強いることになります。どれだけ「正義」の名を掲げようと、いかなる戦争行為も許されるものではありません。むしろその「正義」こそが、犠牲を強いられ絶望の中におかれる多くの人々を見えなくしてしまうのであります。
私たちは、今こそ戦争やテロの連鎖によって生み出されてきた憎悪を克服していく道を探らねばなりません。そのことをとおして、国家や民族・文化・ 宗教の差異を認め合い、共に生き合える社会を実現することが求められています。そのような願いを世界中の多くの人々と共有しながら、私たちは、あらためて不戦の誓いを確かめ、イラクに対する武力行使に断固抗議すると共に、戦争の中止を強く求めるものであります。
また、日本政府は、イラク攻撃支持の立場を表明するなど、憲法に謳われた戦争放棄の理念を踏みにじる行為を行っています。日本政府には、かつて侵略戦争を起こした国として、平和な世界の建設に向けての役割を自覚し、攻撃支持の方針を撤回し、国際社会に対して武力行使反対の立場を明らかにされるよう、ここに要請いたします。
2003年3月19日
真宗大谷派宗務総長 三浦 崇