12月9日、政府がイラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊活動の「基本計画」を正式決定したことを受け、同日、真宗大谷派宗務総長がコメントを発表いたしました。
イラクへの自衛隊派遣に関する宗務総長コメント
5月1日に合衆国大統領は、一方的にイラク戦争の終結を宣言しました。しかし今日にいたるまで、イラク国民をはじめ各国の関係者が数多く犠牲になっておられます。報復と報復の悪循環の中での悲しい死であります。
そして11月29日には、イラクでお仕事をされていた二人の日本人外交官とイラク人運転手もまた、その悪循環のはざまでいのちを奪われました。まことに深い悲しみであり、つつしんで哀悼の意を表するとともに、いのちを奪った行為にたいして強く抗議いたします。
本日、政府は自衛隊をイラクへ派遣するための基本計画を閣議決定しました。自衛隊は重火器を有する軍隊です。その自衛隊を今なお戦争状態にあるイラクへ派遣することは、復興支援という名目とは逆に、報復の悪循環を助長するだけであって、本当の意味でイラク国民の生活を回復することにはならないと深く憂慮いたします。
なくなられた人の死を悼み悲しむことと、その死を怒りにかえて報復に向かうこととは同じではありません。戦いをもって戦いを終わらせようとすることが、どのような解決にもならないことを真理として受けとめ、関係諸国が英断をもって戦いを止める努力をする、そのことを促していくことが国際社会における日本が果たすべき役割であると思います。そしてそのことが、二人の外交官を含め、今日まで戦争で犠牲となった多くの人たちの死を、心から追悼することであると思います。
2003年12月9日
真宗大谷派宗務総長 熊谷 宗惠