アメリカ合衆国が、ネバダ州の地下核実験場で、米太平洋時間19日午後(日本時間20日早朝)、未臨界核実験を実施したことを受け、真宗大谷派は本日、宗務総長コメントを発表しました。
アメリカ合衆国における臨界前核実験に対する宗務総長コメント
このたび、アメリカ合衆国が通算20回目となる臨界前核実験を行ったことに対して、深い悲しみと憤りを覚えます。
アメリカ合衆国のイラクへの武力攻撃は、双方に多くの死傷者と多大な被害をもたらしました。そして今なおイラク国民に戦争の深い傷跡を残しているさなかに、たび重なる核実験を行なったことは、新たな不信感と戦争への火種を生みだすものであり、今後さらに大きな悲劇をもたらすことが強く懸念されます。いのちの尊厳と人類の平和への願いを踏みにじる行為であり、決して許されるべきことではありません。
核によって戦争を抑止することができないこと、人類の直面する諸問題について戦争が何の解決策にもならないことは、これまでの歴史の教えるところです。
今私たちに求められることは、戦争やテロの連鎖によって生みだされてきた憎悪の念を克服していく道を探り、さまざまな国家、民族、文化の違いを認め合うことのうえに立った共に生きあえる世界を実現することです。
釈尊の教えをいただく私たち仏教徒は、「殺すな、殺されるな、殺させるな」という願いを世界中の人々と共有しながら、あらためて不戦の誓いを確かめてまいりたいと思います。
地球上のあらゆるいのちの共存と平和のため、アメリカ合衆国はただちに核実験を中止し、核兵器廃絶の道を歩まれることを強く要望いたします。
2003年9月20日
真宗大谷派宗務総長 熊谷 宗惠