2002年9月27日、アメリカ合衆国ネバダ州の核実験場において通算19回目となる未臨界核実験を行ったことに対し、宗務総長名による抗議文をアメリカ合衆国大統領宛に送付しました。
抗議文
このたび、貴国が通算19回目となる未臨界核実験を行ったことに対し、深い悲しみと憤りを覚えます。
昨年9月の同時多発テロへの「報復」として、貴国はアフガニスタンに対して武力を行使し、多くの死傷者と多大な被害をもたらしました。今なお多くの人々が絶望の只中に置かれており、加えて、周辺諸国における軍事的緊張も、以前にも増して高まっております。そのような中で度重なる核実験を行い続けることは、むしろ新たな戦争への火種を生み出すものであり、大きな悲劇をもたらすことが強く懸念されます。
軍縮の動きを進め、さまざまな国際的条約や取り決めを模索している国々は少なくありません。核によって戦争を抑止する事は出来ず、人類の直面する諸問題は、戦争によっては何も解決されないことが、歴史の教えるところとなっています。
今私たちに求められているのは、さまざまな国家、民族、文化の違いを認め、共に生きあえる世界を実現することであります。
私たちは仏教徒として、人類の願いを裏切り、いのちの尊厳を奪う貴国の未臨界核実験に厳重に抗議するとともに、ただちに実験を中止され核兵器廃絶の道を歩まれるよう強く要望いたします。
2002年9月27日
真宗大谷派宗務総長 三浦 崇
アメリカ合衆国大統領
ジョージ・W・ブッシュ 殿