真宗大谷派の最高議決機関である宗会(常会)において、6月11日「有事法案の撤回を求める決議案」が宗議会にて可決された。
当派宗会においては、1995年6月に「不戦決議」を可決し、1999年6月には「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法に対する決議案」を可決するなど、平和への願いを訴えている。
有事法案の撤回を求める決議
現国会において有事法制関連三法案が上程され、審議の途中にあります。この法案は、戦争放棄を明記する憲法に違反し、すべてに軍事を優先させ、市民の人権を根こそぎ破壊し、国民を戦争に駆り立てるものであります。
また、昨年8月13日と本年4月21日の2回にわたって靖国神社参拝を強行した小泉首相の「備えあれば憂いなし」の言は、国を守るとしながら、実は国民総動員を企図するものに他ならず、そのことこそが国民の憂いであります。戦争放棄をうたう日本国憲法の精神こそが最大の備えであり、国民の憂いをなくす最善の道であります。私たちは過去の誤った道を再び歩んではなりません。どこまでも本願念仏の教法に立ち、すべての人々と共に「御同朋」として呼びあえる関係を築き上げることこそが、平和を希求する人類唯一の道と確信します。
私たちの教団は、かつて宗祖親鸞聖人の仰せになきことを仰せとして、先の戦争を「聖戦」と呼び、国家に協力しアジア諸国を始めとする世界の人々に言語に絶する惨禍と苦難をもたらしました。その戦争責任を自らに問い続け、1995年宗・参両議会において、この事実を深く懺悔し、「先の大戦に犯した宗門の罪責を検証しこれらの惨事を未然に防止する努力を惜しまない」ことを決意して、「不戦決議」を採択いたしました。
ここに私たちは小泉首相、政府、国会議員各位が有事法案を撤回し断念せられることを強く求めるものであります。右、決議いたします。
2002年6月11日
真宗大谷派 宗 議 会