報恩講について
報恩講とは、宗祖親鸞聖人の御祥月命日に勤まる法要のことです。
祖師の御祥月命日や御命日に報恩の仏事が勤まることは真宗独自のものではありませんが、真宗門徒にとっては、一年でもっとも大切で中心となる仏事として勤まってきました。
報恩講は親鸞聖人滅後、門弟たちが親鸞聖人の御命日にお勤めをしたことに始まります。
当時は「報恩講」と称していませんでしたが、宗祖三十三回忌の際には、第三代覚如上人が『報恩講私記』(式文)をお作りになって法要の次第を調えられ、後に覚如上人の子・存覚上人が『歎徳文』をお作りになって法要の次第に加えられました。
そして第八代蓮如上人の頃には、各地の寺院・道場でも広く勤まるようになりました。
しかしその源をたずねれば、親鸞聖人ご自身が、師・法然上人の御命日に人々と寄り合い、仏法を聴聞し、お勤めをしておられたことにあるといえます。
親鸞聖人は生涯、日々新しく、感動をもって法然上人がお説きになった念仏の教えを聞き、そして語り合っていかれたのですが、その大切な機会が法然上人の御命日の集い(講)であったとうかがわれます。
御命日にお勤めをしつつ、法然上人の教えをいよいよ深くいただいていかれた、この親鸞聖人のお姿こそ、いま私たちがお勤めしている報恩講の原点です。
思えば、私たちが生きていくうえには親の恩や師の恩など、いろいろなご恩があります。それぞれ大切なことですが、報恩講の恩とは、なにより親鸞聖人がいただかれた念仏の教えに遇い、自らが生きる依り処を教えていただいたご恩のことです。
そのご恩に報謝し、いよいよ親鸞聖人が明らかにされた真実のみ教えを聞信し、共に念仏申す身となっていくことを誓うことが報恩講の大切な意味なのです。