東本願寺を知る 宗務総長ごあいさつ

ごあいさつ

宗務総長 木越渉

宗務総長 木越きごし わたる

新型コロナウイルス感染症は、これまで当たり前としてきた日常を根底から覆すものでした。

しかしながら、このような危機的状況にあっても、「お寺で仏法が聞きたい」「お寺の行事を再開してほしい」というご門徒の強い気持ちに応え、感染対策を行ったうえで、仏法聴聞の場が徐々に再開されつつあります。厳しい現状の中、これを機縁に「共に生きる」ということを課題に学びを深めるべきだと感じます。

思い返しますと、感染拡大によりパニックが起こり、マスク獲得のため、長い列ができるほどでした。最初は自分が感染しないための行動でしたが、次第に「自他を守る」ことがマスクの目的であることを知り、変化がおこりました。仏教でいう「慈悲心」が課題となった日々であったかと思います。

真宗大谷派は「同朋社会」の実現を目指し、日々歩みを進めております。それは自分だけではなく、どこまでも「他者と共に」を課題とし、「共に生きる世界を求める」、大きなしごとであると言えます。

仏のはたらきである「十方衆生の救済」とは、「隣の方の幸せがなければ、自らの幸せもあろうはずがない」、つまり「共なる救済」ということを私どもに示し、命のつながりと命が持つ使命、命自体の持つ意味を教えてくださる大願であると言えるのではないでしょうか。

私はこの仏のお心に学び、「共なる大地」に生きる歴史の一人でありたいと思います。